サンタさんからの贈り物

   12月25日 街中はクリスマスで祭りや遊びで賑わっていた

ここアメストリス国 東部にある東方司令部では、そうはいかなかった

部屋にいるのはロイ・マスタング大佐だけである。 他の部下たちはというと騒がしく廊下を走り回っている

   「ああ 今日こそはリザと・・って思っていたのだがこの忙しさでは無理か・・」

  などと独り言を言っている

リザというのは この男ロイの部下、右腕とも言える女性だ。階級は中尉

リザ・ホークアイ中尉だ。

  「仕方ないな・・・っとこれが最後の書類だな。」

サラサラ・・。ペンを動かしている音しか聞こえない

こんな静かな場所からコンコンと扉を叩く音が聞こえた

   「失礼します大佐。」

扉の外から聞こえた声はリザであった

   「中尉かね?入りたまえ」

ロイはすぐにその声がリザだとわかり、うすら笑いを浮かべた それはリザには見えないように・・・

   「出来上がっている書類を預かりにきました。」

 気がつくとリザはロイの机の近くまで来ていた

   「ああ これだ」

と、終わっていた全ての書類をリザの腕の中に収めた

   「珍しいですね。私がいなくてもいつもこのようにしてくださいね?」

リザは、優しく微笑えんだ。 こんなに美しい微笑みを返してくれるのはこの自分だけだとロイは知っている

   「はは・・・私もやるときはやるさ。それに・・・」

   「それに・・・?」

   「あ。いやなんでもない。忘れてくれ 他の仕事はないか?」

   「もう全て終わっています 先にお帰りになられてはいかがです?」

   「せっかくリザと2人でいられるんだ。待っておくよ」

   「そうですか」

今預かった書類点検のため、後を向いてしまったリザ。だが、後ろからでも十分顔が赤くなっている事に気がついてるロイ

その愛らしさについ抱きしめたくなるが、我慢する

楽しみはこれからなんだと またうすら笑いを浮かべた  そんなことも知らずに、書類を見直していたが、ふとその手が止まった

   「これはー?」

来たっ!ロイはその時を待っていたのだ

   「どうした?」  

   ニヤリと・・・わかっているのにわざと知らないフリをしてみる

振り返ったリザの目は≪貴方ですよね?≫と問いただしているように見える。先ほどそっぽを向いたリザも可愛かったが

今のリザは滅多に見られないな・・・。 耳まで真っ赤だ。

   「これっ!あなたからですよねっ?」

ロイも目の前まで何やら小さい箱を持ってきた  そしてその箱の中に入っているピアスを取り出す

    「どうかな?」

見えみえでわかりきった嘘を付いた 本当は私なのだがな・・・ 今日この日のために前もって用意していたシンプルなピアス

それを大量の書類の中に隠し埋もれさせていたのだった。リザはオシャレやアクセサリーには興味ないことを知っていたのだが

このピアスはきっとリザに似合うだろうと思い買ったのだ。

リザもロイからなのだとわかっていた。

でもロイって子供なのよね・・・ 

   「でしたらサンタさんからの贈り物としておきましょう。でも私にピアスなんて似合うかしら?」

   「きっと似合うさ。 つけてあげよう」

古いピアスをはずして 新しいピアスに・・・

   「よし。できた。見てごらん?」

   「あっ・・・」

鏡の中に映る自分と輝いたピアス・・・ 久しぶりに女性になった姿を見て喜んだ

   「よく似合ってるよ。リザ」

   「あっありがとう。ロイ」